ミミズコンポストは難しい?メリット・デメリットを解説

たいら 由以子

たいら 由以子

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ミミズコンポストは難しい?メリット・デメリットを解説

ミミズコンポストをご存じですか?生ごみをミミズに食べてもらい、栄養たっぷりの堆肥を作る方法です。エコで自然にもやさしい方法として注目されていますが、「手間がかかりそう」「ミミズってちょっと苦手」と感じる方もいるかもしれません。

そこで本記事では、ミミズコンポストのしくみやメリット・デメリットをやさしく解説し、初心者でも取り入れやすい方法をご紹介します。ミミズコンポストの特徴を理解したうえで、気軽に始められるおすすめの方法もあわせて紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

この記事は以下の方におすすめです▼

  • ごみの削減やエコな暮らしに興味がある方
  • コンポストに挑戦してみたいけれど不安がある方
  • ミミズコンポストに関心がある初心者の方

この記事は以下の情報が得られます▼

  • ミミズコンポストの仕組みや基本知識
  • ミミズコンポストのメリット・デメリット
  • 初心者でも取り入れやすいLFCコンポストの特徴

ミミズコンポストとは

ミミズコンポストとは

最近、ごみの削減やフードロスへの関心が高まり、家庭でコンポストを始める人が増えています。コンポストとは、生ごみなどの有機物を微生物の力で分解し、栄養豊かな堆肥をつくる方法です。

その中でも注目されているのが「ミミズコンポスト」。微生物だけでなくミミズの力も借りることで、分解がよりスムーズに進むのが特長です。ミミズが生ごみを食べ、排せつすることで土壌の改良にもつながるとされています。

海外ではヨーロッパやオーストラリアなどを中心に家庭での導入が進んでおり、都市部でもできるサステナブルな選択肢として注目が集まっています。

ミミズの種類と生態

ミミズコンポストに使われるミミズには、実は種類ごとに向き・不向きがあります。なかには堆肥づくりにとても適した種類もいて、よりスムーズに生ごみを分解してくれる頼もしい存在となっています。

ここでは、コンポストにぴったりなミミズの種類や、ミミズがどのように生活し分解を助けてくれているのか、その生態について紹介していきます。

ミミズの種類

ミミズは、世界中に何千種類も存在するといわれています。生息する場所によって「表層性種」「表層採食地中性種」「地中性種」の3つに分類され、それぞれ特徴が異なります。日本の公園や山などでよく見かけるのは大きくて太めの「フトミミズ」という種類ですが、これはコンポストにはあまり向いていません。

コンポストに適しているのは、表層に生息し、生ごみなどをよく食べる「シマミミズ」という種類。フトミミズに比べて細く小さく、釣りのエサとしてもおなじみのミミズです。釣具店やネット販売で生きたまま購入することもできます。

ミミズの生態

ミミズは地中に生息する生きものですが、コンポストの中でもとても活発に活動しています。シマミミズの体長は5〜10cmほどで、重さは1g前後と小柄ですが、食べる力や繁殖力は驚くほど高いのが特徴です。

彼らの1日は「動く→食べる→出す」の繰り返し。移動することで土を耕し、生ごみを食べて分解し、排せつ物はそのまま栄養たっぷりの堆肥になります。さらにミミズ自身が寿命を迎えた後も、その死骸が土の栄養となり無駄のない循環が生まれます。

繁殖力の高いシマミミズは、環境が整えば自然に数が増えます。目安として、最初は500匹ほどからスタートするのが一般的ですが、たとえば毎日500g程度の生ごみを処理する場合には、約2,500匹のミミズが必要になる場合もあるようです。

そのため、まずは少量から始めて、ミミズが増えていく様子を見ながら調整していくのがおすすめです。

ミミズコンポストに入れられるもの・入れてはいけないもの

ミミズコンポストでは、家庭から出るさまざまな生ごみをエサとして活用できます。ただし、ミミズにも好き嫌いがあるためすべての食品や素材が向いているわけではなく、入れるものを選ぶことが大切です。以下に、代表的な例をまとめました。

入れてよいものあまり入れないほうがよいもの入れてはいけないもの
  • 野菜くず、果物
  • お茶がら、ティーバッグ(天然素材)
  • 煮物、乾物
  • ご飯、パン、残飯
  • 肉、魚の内臓
  • 卵の殻
  • 牛乳パック類、新聞紙、段ボールなどの紙類
  • ねぎ類
  • ガム
  • 柑橘類
  • 液体(ジュース、牛乳、味噌汁など)
  • 刺激物(香辛料など)
  • 濃い味付けの食べ物

大量の肉は虫が湧きやすく、匂いの原因になることも。また薬を飲んでいる犬、牛のふんを与えるとミミズが死んでしまうため注意が必要です。

バランスよく多様な素材を与えることで、栄養豊富な堆肥に仕上がります。心配な場合は、まず少量から試して様子を見るのがおすすめです。

ミミズコンポストのメリット

ミミズコンポストのメリット

ミミズコンポストには、自然にやさしいだけでなく、日々の暮らしにうれしいメリットがたくさんあります。ここでは、代表的な5つの魅力をご紹介します。

悪臭が出にくい

ミミズコンポストは、適量の生ごみを入れていれば、いやな臭いがほとんど発生しません。ミミズがすぐに食べて分解を始めるため、生ごみが腐る前に処理され悪臭の原因が抑えられます。

実際に、キッチンの近くやベランダだけでなく、仕事部屋などの室内に設置している人もいるほどです。虫やにおいが心配でコンポストをためらっていた方にも、安心して取り入れやすい方法です。

良質な堆肥ができる

ミミズコンポストでできる堆肥は、微生物だけで分解したものと比べて、ふかふかで通気性のよい土に仕上がります。ミミズの排せつ物によって「団粒構造」と呼ばれる粒のかたまりが生まれ、植物の根が張りやすくなるのです。

また、コンポスト容器の底にたまる液体には栄養が豊富に含まれており、「ミミズ液肥」として活用できます。水で10倍程度に薄めて、野菜や観葉植物の液体肥料として使うのがおすすめです。

毎日かき混ぜなくて良い

一般的なコンポストでは、微生物が活動しやすいように毎日かき混ぜて酸素を供給する必要があります。特に密閉容器では、酸素不足になると悪臭や分解の遅れにつながることもあるでしょう。

一方で、ミミズコンポストならミミズが日々動き回ることで、自然と中のごみがかき混ぜられます。ミミズが通ったあとは酸素が入り込みやすいため、堆肥化もスムーズに進みやすくなります。

毎日のお世話が少なくて済むので、忙しい方やコンポスト初心者にもぴったり。負担を感じずに、無理なく続けやすいのが魅力です。

省スペースでできる

ミミズコンポストは、広い庭や畑がなくても始められるのが魅力です。たとえば、1日あたり500gほどの生ごみを出す3~4人家族でも、一辺が約40cm四方のコンテナひとつで運用できるとされています。

大がかりな設備は不要でベランダや玄関横、室内の隅など、省スペースでの設置が可能です。場所をとらないため、マンション暮らしの方や家庭菜園の延長で始めたい方にもぴったりです。

観察するのが面白い

ミミズコンポストは、ただごみを減らすだけでなく、その過程を「見て楽しむ」こともできます。生ごみが少しずつ分解されていく様子は、想像以上に興味深く、続けるうちにミミズに愛着がわいてくるのも特徴の一つです。なかにはペットのように名前をつけて育てている方もいます。

子どもの自由研究や食育のきっかけとして始める家庭も多く、楽しさを感じながらごみ処理や食べ残しへの意識を自然と変えられる点も、ミミズコンポストならではの魅力です。

ミミズコンポストのデメリット

ミミズコンポストには多くのメリットがありますが、始める前に知っておきたい注意点もいくつかあります。あらかじめ理解しておくことで、トラブルを防ぎながら、より安心して続けることができます。

処理できないものがある

ミミズコンポストでは多くの生ごみを処理できますが、すべてを入れてよいわけではありません。油を多く含むものや香辛料などの刺激物、汁気の多いものはミミズに負担がかかり分解がうまく進まないことがあります。

また、1日に処理できるごみの量にも限度があります。入れる量は様子を見ながら調整することが大切です。そのため、「ごみをすべてゼロにする」というよりは「無理のない範囲でエコな暮らしを続けていく方法」として取り入れるといいでしょう。

病原菌や害虫、雑草が残ることもある

一般的なコンポストでは、微生物の働きによって内部が20~60度ほどに温まり、ときには湯気が出るほど高温になります。この熱によって病原菌や害虫の卵、雑草の種などが死滅しやすく、安心して堆肥として使えるのが特長です。

一方、ミミズが快適に活動できる温度は10~28度と比較的低め。温度が上がりすぎるとミミズが弱ってしまうため、高温にはできません。そのため、ミミズコンポストでは一部の病原菌や雑草の種が残ることがありますが、これは仕組み上、避けられないこととして理解しておきましょう。

暑さに弱い

先ほどお伝えしたようにミミズは高温に弱いため、夏場の管理には少し注意が必要です。活動に適した温度の10~28度以上を超えるとミミズの動きが鈍くなったり、弱ってしまったりすることもあります。

近年は気温が30度を超える日も多いため、屋外に設置している場合は、直射日光を避けたり風通しの良い場所に移したりする工夫が必要です。ベランダや玄関先での運用が難しい場合は、夏の間だけ室内に置くのも一つの方法です。無理のない範囲で調整しながら、ミミズが過ごしやすい環境を整えてあげましょう。

まずはLFCのコンポストから始めてみませんか

ミミズコンポストは、ごみを減らしながら栄養たっぷりの堆肥がつくれる魅力的な方法ですが、実際にはミミズの健康管理や環境づくりなど、少し手間のかかる一面もあります。微生物の働きだけでなく、ミミズの性質も理解しながら続けていく必要があるため、メリットは多いですが初心者にとってハードルが高く感じられるかもしれません。

そんな方におすすめなのが、LFCコンポストです。ファスナー付きのバッグ型容器で、虫が入りにくく、臭いも気になりにくい構造になっています。ベランダなど限られたスペースにも設置できるため、都心部の家庭菜園にもぴったりです。

さらに、LINEで気軽に相談できるサポート体制も整っており「初めてでどうしてよいのかわからない」という方でも、安心して始められます。

コンポストに興味がある方は、まずはLFCコンポストから気軽に挑戦してみませんか?

執筆者
たいら 由以子
たいら 由以子

大学卒業後、証券会社で5年間勤務し、企業価値と資本市場の視点を養いました。その後、やかましむら青年団で「循環生活研究所」の前身となる部署を立ち上げ、地域資源を半径2kmで循環させる“栄養循環モデル”の実証に着手します。堆肥づくり歴60年超の母に師事しながら実地でノウハウを蓄積し、1998 年にはNPO 法人循環生活研究所を設立。以来27年にわたり研究開発と普及活動を牽引し、国内外で数万人以上にコンポストを広げてきました。

2019年には都市型コンポスト「LFC コンポスト」を開発し、ボーダレスジャパンへ参画。ローカルフードサイクリング株式会社を創業し、家庭から出る生ごみを資源化する仕組みをビジネスとして展開しています。また、「生ごみ焼却ゼロプラットフォーム」を立ち上げ、行政・企業・市民を結び付けて焼却量ゼロを目指すソーシャルインパクトを創出。さらに、循環型コミュニティガーデン協会を設立し、都市部における栄養循環の拠点づくりを推進しています。こうした活動が評価され、NPO法人循環生活研究所では、環境大臣表彰「循環型社会形成推進功労者」などの賞を受賞しました。

監修者
小田 一枝
小田 一枝

⼤学卒業後、証券会社、外資系損保、外資系保険ブローカーを経て現職。RuleWatcher(持続可能性に関わる国際データ収集と分析のためのツール)のシソーラス製作の総責任を負う。世界各国の政策データから海洋プラスチック問題、気候変動、サーキュラーエコノミー、淡水資源問題、ビジネス人権等を切り出す幅広い知識を活かし、社会⼈教育も多数行う。2024年より、株式会社ユーザベースとの協業にて、技術者向けのインテリジェンス講師も担当。
環境・人権分野という「国境を越える課題群」を収集対象の情報とし、世界の政策がどこに向かっていくのかという大きなトレンドを把握しやすくするためのタグ付けや、情報の読み解きの手ほどきも行う「リサーチャー兼コミュニケーター」。月次のユーザー向け勉強会も、難しい話が分かりやすいと好評。
シンガポールの国立博物館等のガイド時代に培った特技を生かしてイベントやメルマガ内で、昨今のルールトレンドについて解説も行っている。

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