コンポストトイレとは?メリットや気になる臭いのことも解説
環境に優しく災害時にも活躍することから、いま静かに注目を集めているトイレです。
アウトドアや防災意識の高まりとともに、家庭への導入事例も少しずつ増えてきました。
この記事では、コンポストトイレの仕組みやメリット、導入方法までわかりやすく解説します。
LFCの事例も交えながら、エコで持続可能な暮らしのヒントをチェックしてみましょう。
この記事は以下の方におすすめです▼
環境に配慮した暮らしを始めたいと考えている方
災害時や自然とともにある暮らしに備えたトイレを検討している方
コンポストやサステナブルな取り組みに興味がある方
この記事では以下の情報が得られます▼
コンポストトイレの仕組みと、自然に優しい理由がわかる
メリット・デメリット・活用例を通して、実生活での使い方がイメージできる
実際に導入する方法や、LFCの事例もチェックできる
コンポストトイレとは
コンポストトイレは、微生物の働きを利用して排泄物を分解し、堆肥として再利用できるトイレです。
「バイオトイレ」とも呼ばれ、電気や水道を使わずに排泄物を処理できる点が特徴です。
日本でも、今のような水洗トイレが広まる前は、排泄物を貯めて田畑の肥料に使う「くみ取り式」のトイレが主流でした。
コンポストトイレは、そうした自然循環の暮らしを現代風にアップデートした仕組みを持ちます。
タイプは大きく2つに分かれます。
- おがくずやもみ殻などの資材を使い、使用後すぐにその場で分解を進めるタイプ
- トイレとは別の場所にコンポストステーションを設け、排泄物をそこに集めて分解するタイプ
いずれも自然の力を活かしながら、環境への負荷を最小限に抑えられる持続可能なトイレとして注目されています。
コンポストトイレのメリット
コンポストトイレには、環境にやさしいだけでなく、実用面でもさまざまなメリットがあります。
たとえば、排泄物を堆肥として再利用できたり災害時の備えとしても活躍したりと、日常生活から非常時まで幅広いシーンで力を発揮してくれます。
ここではコンポストトイレのメリットを詳しく知っていきましょう。
電気や水を使わない
コンポストトイレは、水を流す必要がなく、処理にも電気を使いません。そのため、電気代や水道代がかからず、ランニングコストを抑えられるのがメリットのひとつです。
水洗トイレのようにポンプや配管がないため、停電時や断水時でも使えるのも大きな利点です。
仕組みがシンプルなので、故障の心配も少なく、長く使い続けられます。
大がかりな工事が要らない
コンポストトイレは、基材(おがくずやもみ殻など)が入った容器と便器を設置するだけですぐに使い始められます。上下水道や電気の工事が不要なため、DIYでも対応しやすく、導入のハードルが低いのが特徴です。
一般的な水洗トイレを庭や畑に設置するには、配管や電気工事が必要となり数十万円〜数百万円の費用がかかることもあります。その点、コンポストトイレは環境負荷を抑えながら、気軽に取り入れられる持続可能な選択肢です。
堆肥ができる
実は、排泄物のおよそ90%は水分です。コンポストトイレでは微生物の働きによってその水分が蒸発し、残りも水や二酸化炭素に分解されていきます。
分解が進むと、最終的に残るのは栄養を含んだ有機質の堆肥です。これを乾燥させたり熟成させたりすれば、家庭菜園などに再利用できます。
「捨てるもの」だった排泄物が「育てるもの」へと生まれ変わるという、循環の仕組みを身近なところから実感できるのも、コンポストトイレの大きな魅力です。
災害への備えになる
地震や台風など、大規模災害が発生すると、水道や電気が止まり、普段使っているトイレが使えなくなることがあります。防災対策として食料や飲み水を備える人は増えていますが、意外と見落とされがちなのが「トイレの問題」です。
空腹はある程度我慢できても、トイレの不便は生活に直結します。
衛生面の悪化やストレスによる体調不良を招くこともあるため、対策は欠かせません。
コンポストトイレは電気や水を使わずに使えるため、停電・断水が長引いた場合にも対応できます。臭いも出にくく、簡易トイレより快適に使えるのも大きなメリットです。
コンポストトイレの活用例
コンポストトイレは、上下水道の整備が難しい場所や、少人数での利用に向いています。
具体的な活用例としては、以下のような場所が挙げられます。
- 山小屋
- キャンプ場
- ログハウス
- 畑
- 別荘
- 介護用途(室内にもう1つトイレを設置したい場合など)
家庭内での介護用トイレとして活用されるケースとは「市販の機能性が高いモデルなら従来のポータブルトイレより臭いが出にくく、快適に使える」からです。
コンポストトイレはメリットでもお伝えしたように、工事不要。「2階にトイレを増設したい」「移動が大変」といった悩みにも対応できるのが特徴です。
LFCでもコンポストトイレを導入!
LFCでは、自社が運営する福岡市東区の三苫LFCコミュニティガーデンに、コンポストトイレを設置しています。
このトイレは、土壁づくりや雨水活用といった昔ながらの知恵を取り入れながら、地域の人たちと一緒に作り上げたもの。自然素材を使い、ワークショップ形式で4日間かけて完成させたこのトイレは、機能性だけでなく見た目の美しさにもこだわっています。
LFCのコミュニティガーデンは「半径2kmの栄養循環」をテーマにした実験の場です。たとえば、もうひとつの活動拠点「牧の鼻」では、生ごみや落ち葉から堆肥をつくり、野菜や花を育てる取り組みを地域と協力して行っています。
トイレも暮らしの一部だからこそ、LFCでは“自然と共にある仕組み”を暮らしの足元から見直し、実際の取り組みとして形にしています。
コンポストトイレの入手方法
コンポストトイレは、以下のような方法で手に入れることができます。
- ① 実店舗で探す
大型のホームセンターや園芸用品店で取り扱っている場合があります。実物を見ながら選びたい方におすすめです。 - ② インターネットで探す
「コンポストトイレ」「バイオトイレ」などのキーワードで検索すると、さまざまな商品が見つかります。比較検討しやすく、種類も豊富です。 - ③ 自作する
DIYで自作する人も増えており、YouTubeなどで作り方を紹介する動画も多く見られます。資材を組み合わせて自分に合った形にできるため、工夫するのが好きな方にぴったりです。
目的やライフスタイルに合わせて、無理のない方法から取り入れてみるのがおすすめです。
コンポストトイレはSDGsな取り組み
コンポストトイレのような環境負荷の少ない選択は、国連が提唱する「SDGs(持続可能な開発目標)」の実現にも貢献します。SDGsとは、2030年までに持続可能な社会を目指すために掲げられた、世界共通の17の目標です。
中でもコンポストトイレは、以下の目標と深く関係しています。コンポストトイレとSDGsのつながりを簡単にチェックしてみましょう。
- 目標6「安全な水とトイレを世界中に」:水を使わないトイレは、水資源を大切にする形の1つです
- 目標11「住み続けられるまちづくりを」:災害時にも使えるトイレは安心して暮らせるまちづくりの一歩です
- 目標12「つくる責任 つかう責任」:排泄物を捨てるのではなく、堆肥として活用するという循環型の発想
- 目標13「気候変動に具体的な対策を」:処理に電力を使わない仕組みは地球にも優しい取り組みにつながります
- 目標15「陸の豊かさも守ろう」:堆肥として土壌に還すことで、自然環境の再生に役立ちます
毎日の暮らしの中で、無理なくSDGsに参加できる方法のひとつとして、コンポストトイレは注目されています。
よくある質問
コンポストトイレについてよく寄せられる質問を集めました。「本当に導入できるのかな?」と不安に思う方は、ぜひ参考にしてみてください。
コンポストトイレはいくらぐらいしますか
製品の種類や購入方法によって価格は大きく異なります。
個人が製作・販売しているものでは10万円台が中心で、専門業者が取り扱う既製品では20〜30万円ほどが目立ちます。
一方、自作にチャレンジする方も多く、ホームセンターなどの資材を使えば1〜2万円程度で作れるケースもあります。機能やデザイン、設置場所に合わせて、自分に合ったスタイルを選ぶのがポイントです。
トイレットペーパーも入れられますか
基本的には、少量であればトイレットペーパーを一緒に投入しても問題ありません。
ただし、漂白されたペーパーや香料・着色料が含まれているものは、微生物の働きに影響を与えることがあるため避けた方が安心です。
できれば、無漂白・無添加のトイレットペーパーを使うのがおすすめ。市販でも「再生紙」「ナチュラルパルプ使用」などの記載がある製品を選ぶと、コンポストとの相性がよく、分解もスムーズです。
臭いませんか
「トイレ=臭うもの」というイメージがありますが、コンポストトイレは工夫次第で臭いをかなり抑えることができます。
ポイントは排泄物の水分量をコントロールすることです。
たとえば、大便と小便を分けて処理することで、水分が多くなりすぎるのを防げます。また、おがくずやもみ殻などの「基材」を加えることで、適度な湿度を保ち、微生物が活発に働ける環境を整えることができます。
正しく使えばほとんど臭いが気にならないケースも多く、実際に使っている方の中には「想像よりずっと快適だった」という声も少なくありません。
まずは「生ごみコンポスト」から始めてみませんか
コンポストトイレは、環境にやさしく、防災や自給自足の観点からも注目されている選択肢です。LFCが運営する三苫LFCコミュニティガーデンでも実際に導入され、自然との共生を実践する場として活用されています。
とはいえ、いきなりコンポストトイレを取り入れるのはハードルが高い…と感じる方も多いかもしれません。そんなときは、まず生ごみコンポストから始めてみるのがおすすめです。
LFCのバッグ型コンポストは、都会や集合住宅でも気軽に始められる“生ごみ堆肥化”の選択肢。なお、製品本来の用途は生ごみ用ですが、非常時などどうしても必要な場合に限り、排泄物の処理に対応できる可能性もあります。
いざコンポストトイレを導入する際にも、生ごみコンポストで得た知識を活用できるのも嬉しいポイントです。
まずはできるところから。暮らしの中でできる“循環”を、ひとつずつ増やしてみませんか?